各種活動及び出張報告です.
APAIE 2022
昨年度3月に開催されたAPAIE 2022会議に、研究メンバーの櫻井勇介と中野遼子が参加しました。APAIEという会議は、アジア太平洋地域の国際教育担当者を中心とする大規模な国際教育の会議であり、ネットワーク構築の機会でもあります。国際的な連携を促進し、国際的な教育プログラムを改善するための貴重な機会を提供するものです。
開催されたセミナーやプレゼンテーションでは、国際的な教育実践に関連する多くのトピックが扱われました。大きく目立ったのは、コロナウイルスの蔓延が高等教育に与える影響に関する情報でした。例えば、北米など主要な地域で留学生数が回復してきていることなどが挙げられます。国境の開放が遅れていたオーストラリアでは、留学生の受け入れ数が停滞しているとのことでした。また、国際的な学生交流の場において、中国人留学生の復帰が遅れているとの報告もありました。他にも、留学生の精神的な健康やウェルビーイングをサポートすることの重要性とその実践についてコメントした発表もありました。
もう一つの大きなトピックとして、高等教育における新しい教育実践についてのものが多く扱われました。オンラインと対面式の国際教育やインターンシップ・プログラムの実践について語られた発表も複数ありました。いくつかのパネルでは、ポスト・パンデミックの国際教育の加速における懸念が示されました。グローバルな教育の標準化が進むことによるローカルな知識の軽視を懸念する声が上がっていました。その他にも将来の国際教育への不安を口にする発表者がおり、たとえば、オンライン教育は有用だが、地理的な違いによるデジタルデバイドに注意する必要があるという意見も共有されていました。
参加者の櫻井と中野は、米国とカナダの発表者との同時セッションで、これまでのプロジェクトで得られた結果を発表しました(米国国際教育研究所のDr. Mirka Martelとカナダ国際教育局のMs. Melissa Payneとともに)。私たちのパネルでは、COVID蔓延中の大学生の国際流動性の構造変化とその変動についての調査結果を提示しました。カナダからの研究報告では、インクルージョンとアクセス、仮想学習、およびCOVID蔓延中の教育環境の実践に関する学生の視点に焦点を当てました。櫻井と中野の報告では、日本のCOVID-19の蔓延状況についての報告と、二国間学生交換プログラムの再開に関する意思決定に対する大学のリーダーの認識についての報告を共有しました。米国の調査では、COVID-19が広がってから1年後の国際教育の状況が報告され、留学生の動向と米国への留学における影響が浮き彫りになったことが語られました。このような多様なパネルメンバーによる報告で、私たちは異なる国々の国際的な移動性に対する感染症が引き起こす影響を紹介することができました。
APAIE 2021
3 月 23-24 日に開催された APAIE 2021(The Asia-Pacific Association for International Education)にプロジェクトメンバーの櫻井と中野の二人が参加しました。このイベントにはアジア、オセアニア、北米から多くの代表者が集まり、国際教育の最新の問題について話し合いがもたれました。特に、コロナウィルスが蔓延している現在、すべてのセッションがオンラインで行われ、コロナウィルスの拡大の影響を受けている世界の各地域の国際教育の状況についての情報共有が行われました。
参加者は、高等教育機関で学生にオンライン学習の機会を提供する際の努力や課題について報告を行いました。彼らの発表によると、ほとんどの教育機関は、いくつかの限界はあるものの、難しい状況にうまく適応し、新しい教育の可能性を模索しているようでした。このような新しい学術的な機会については、オンラインでの正規の教育の提供はもちろんのこと、新しいオンライン・インターンシップ、国際的なデュアルディグリーのパートナーシップ、国境を越えたバーチャルな学術的共同作業なども報告されていました。 多くの参加者は、国境が再開されても、こういった新しい教育機会の開発は継続され、なくなってしまうことはないと考えていました。代表者たちがよく口にしていた課題は、例えば、様々な教育形態の持続可能な運営、教育のニューノーマルに適した国境を越えた新たなパートナーシップの構築、教員のための教育学的な開発機会の必要性などでした。
今回の APAIE では、今日の高等教育の最も重要な問題について情報を得ることができました。国際教育のダイナミクスをよりよく理解するために、異なる地域からの多くの最新情報を得る機会になりました。
APAIE 2021
CAEI 2021
CAEI Chile-2021はオンライン大会として、2021年10月19日(火)~10月22日(金)の期間で開催されました。私たちの研究チームからは中野と仙石が参加し、ポスター発表を行いました。オンライン大会のインターフェイスはプラットフォームの使い勝手が良く、プログラム一覧やポスターギャラリーへのアクセスが容易であるという特徴がありました。ポスターギャラリーでは、ポスター以外に2分間の動画を掲載することができました。発表者の顔が見えるとアピールがあり、また今後のネットワーキングにも有効であると感じました。使用言語は、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、英語で、例えば英語で書かれたスライドをスペイン語で発表するなど、一つの発表で複数の言語が使用されていることが印象的でした。様々な言語に対応していくことは、ニューノーマル期の国際学生交流においても重要な点です。
今回日本からの参加者は報告者らを含め二組で、少しでも日本の大学における国際教育交流の情報発信に貢献できたのではないかと考えています。インターフェイスのコネクションやメッセージ機能はほとんど使用されなかったので、次の機会には積極的に活用しネットワークを広げたいと思います。
新型コロナウイルスの影響によりオンライン開催となった本大会ですが、対面であれば参加が難しかったであろうCAEIに参加することができ、有意義な経験となりました。
CAEI 2021