国境を越える留学交流はグローバル化する大学教育の重要な構成要素である.しかし新型感染症が交通を遮断し,キャンパス閉鎖も相次いだ結果,越境を伴う教育モデルの脆弱性が明らかになった.感染症終息後にも大学教育グローバル化を止めないため,日本を含む世界の高等教育機関がどのように協力関係を構築していくべきか.ポストコロナ期に大学間留学交流を安定して運営するためには,これまで構築されてきた教育資産やネットワーク,プロトコルを基礎としながらも,新たに真摯な議論を積み重ね,学生交流の枠組みや手順について世界の教育機関が共通したビジョンを持つ必要がある.
日本と縁が深い地域の研究者や実践者と日本の若手研究者とが,学生交流再開に向けて世界が動き始める 2021 年以降の時期を捉え,議論を深めつつ共に情報収集や分析に取り組む.本研究は海外の関係者らとの膝を交えた意見交換やデータ分析を通して共通ビジョンの基盤となる「大学間交流のニューノーマル」について認識を共有し,大学教育の次なる時代のグローバル化のあり方を探索するアクションリサーチである.